(HONG banjang / PIXTA)

「お金の増え方が大きく見える円建て保険がないからです。老後の払戻率は円建て保険だと108%程度ですが、外貨建て保険では140%くらいになる。この払戻率は為替などで変動する数字なのに、見栄えがよいせいか、お客さんも反応します」

ドルやユーロなどの外貨で保険料を払い込み、外貨で保険金や解約返戻金などを受け取る外貨建て保険。為替変動など外貨建て特有のリスクを抱えた商品だ。その売り上げが近年伸びている理由を、ある保険代理店の販売員が冒頭のように解説してくれた。

筆者も同感だ。預金金利への不満や老後資金への不安を持つ人は、140%といった払戻率のように「見たいもの」だけを見てしまう傾向がある。しかし、最も見なければいけないのは、手数料などの「契約に要する費用」だ。

例えば、ある銀行では1000万円の退職金が振り込まれた顧客を窓口担当者が相手にする場合、販売する商品によって次のように手数料が変わるという。個人向け国債の「変動10」の販売では4万円。それが国内生命保険会社の「一時払い外貨建て特殊養老保険」を売ると70万円にもなる。

担当者が勧めるのはどちらの商品だろうか。一方の顧客にとっては、手数料を差し引いた996万円で運用が始まるのと、930万円からスタートするのとではどちらがいいのか。保険会社が魔法のような運用ノウハウでも持っていない限り、顧客にとっては後者が不利なのは明白だ。保険会社が特別な運用法を持たないことは、日本の長期金利が下がるたびに貯蓄性商品の保険料値上げが繰り返されてきた歴史が教えてくれる。

お金(保険料)をお金(払戻金など)に換える仕組みである限り、このように販売員への手数料なども含む保険会社の経費や収益に消えるお金の多寡が、顧客の受取額に決定的な影響を与える。費用の多寡について考えるには、商品の「設計書」で契約から1年後の払戻率を確認するといい。ある乗合代理店から取り寄せた2つの商品の例で説明する。

為替次第で変動する