孔子が編纂したとされる中国最古の詩集『詩経』の「木瓜(ボッカ)篇」には、女性が果物を意中の男性に投げ、男性がそのお返しに宝玉を送り返して永遠の愛を約束するという投果婚の風習が描かれている。これは「マッチング」にまつわるかなり古い事例だといえるだろう。

この投果婚で、最初に果物を投げた意中の男性が応えてくれなければ、女性はどうしたであろうか。相手がOKするまで果物を投げ続けることも考えられるが、早く見切りをつけて次の男性にアタックしていったと考えるほうが自然であろう。男性はプロポーズされた中で最も好みの女性を選び宝玉を与えればめでたく婚約が成立するかのように思えるが、こうしたマッチング決定方式には問題がある。

例えば、女性が人気のある男性に第1希望としてプロポーズをしても選ばれなければ、次に第2希望の男性にプロポーズすることになる。しかしその時点で第2希望の男性にはすでに相手が決まってしまっているという状況が起こりうるのだ。すると女性は第3希望以下の男性と結ばれるほかないので、それを見越して最初から第2希望の男性にプロポーズすることを考えるかもしれない。

すると第2希望の男性に対して、女性はあたかも第1希望であるかのようにプロポーズすることになる。自分の好みを偽ることでマッチング結果をよくしようと、戦略的行動に出るのだ。

受入保留方式で不満減少

こうした戦略的行動を防ぐには、「受入保留方式」を採用すればよい。受入保留方式では、プロポーズを受けた男性は、すぐに婚約を確定しなくてよい。プロポーズしてきた女性の中でいちばん好みの女性を仮にキープしておくのだ。その後第2希望、第3希望としてプロポーズしてきた女性のほうがよければ、キープする女性をそちらに変えてよい。最終的に自分が最もよいと思う相手を選べばよいのだ。