「10月31日には何が何でもEU(欧州連合)から離脱し、民主主義国家としての信用を取り戻す。英国の失敗に賭けた人たちは一文無しになる」。7月24日、首相官邸前での就任演説でボリス・ジョンソン首相(55)は独特の表現で力説した。「合意なき離脱」も辞さない強気の姿勢を前面に押し出したものだった。

両極に分断された英国

同氏が与党・保守党の党首選挙で圧勝した最大の要因は「選挙での勝負強さ」だとされる。何より労働党の牙城であるロンドンで市長を2期8年務めた実績は大きい。

前メイ政権の下、ブレグジットをめぐる混迷が長期化したことで、保守党の支持率は急落した。5月の欧州議会選挙では、反EUを掲げる新党・ブレグジット党が得票率32%で首位と躍進する一方、保守党は9%で5位と惨敗を喫した。年内総選挙も取り沙汰される中、瀕死の党を再生するには強硬離脱派で知名度も抜群のこの男に懸けるしかなかったのだ。

ジョンソン氏は名門私立イートン校、オックスフォード大学(文学部)卒業と典型的なエリートで、歴代首相を輩出した雄弁部出身だけに演説も巧みだ。ただし、米トランプ大統領とも比べられる毀誉褒貶(きよほうへん)の激しい人物だ。

エリートらしからぬ行動が多く、ユーモアと人間味にあふれ、彼に投票したいがために保守党に鞍替えした労働党員も多いという。

ジョンソン氏が自ら率先して広めた自転車通勤風景は朝のシティーでも