独自開発の低速自動運転車「マイリー」

自動運転技術の民主化をミッションに掲げる。自動運転の開発競争が激化する中、世界から注目を浴びる日本企業がある。名古屋大学発のティアフォーだ。

「小さな組織や個人でも、自動運転車を造れるようにしたい」という加藤真平会長(37)の考えからオープンソースの自動運転用オペレーティングシステム(OS)「オートウェア」を無償公開している。現在国内外で200社以上が同OSを使用しており、自動運転用OSの使用社数では世界一を誇る。

加藤氏は東京大学准教授も兼ねる(撮影:梅谷秀司)

2018年12月には、オートウェアの標準化を目指す「オートウェアファンデーション」を結成。米インテルや中国ファーウェイ、トヨタ自動車の自動運転開発子会社TRI-ADなど名だたる企業が参画する。自動運転開発では米グーグル系ウェイモがトップランナーだが、ティアフォーは世界中の1000人以上のエンジニアと連携することで、性能と安全性でより高い競争力を目指す。

自動運転システムや車両も開発しており、日本では地方を中心に62地域、海外では10カ国で自動運転実証実験の実施・支援を行う。空港など限定エリアでの低速走行、時速30~40キロメートルでの市街地走行、米国での高速道路走行など、さまざまな状況に対応。19年2月には愛知県で、5G通信を使った無人遠隔の実証実験を日本で初めて成功させた。今後、実験対象の自治体を10倍に増やしていく方針だ。

現在は自動運転開発のノウハウを持たない企業へのコンサルティングが収入源。将来は地方の足となるような無人タクシーなど、自動運転サービスの事業化を視野に入れる。さらに有望視しているのが保険事業だ。「100%の安全は存在しない。自動運転の技術を高めると同時に、保険の仕組みで安心を担保する必要がある」(加藤氏)。

事故が起きた後の保険に加え、危険なルートの事前回避や運転中の遠隔モニタリングなど、事故の確率を低くする仕組みの提供をビジネスチャンスと見定め、損害保険ジャパン日本興亜と提携している。