朝にとれたウニを東北新幹線で運び、夕方には東京・品川駅の店に到着する(撮影:尾形文繁)

事業会社が自らベンチャー投資を行うファンド、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)の設立が盛んだ。多くの大企業が変革を迫られる中、CVCに込めた狙いは何か。最新事例を見ていこう。

運輸・交通

朝に岩手・宮古湾でとれたウニが、夕方には品川駅で買える。運んだのは東北新幹線「やまびこ」号だ。JR東日本傘下のCVC・JR東日本スタートアップと、ITを活用した新たな水産流通の仕組みを開発するフーディソンが、今年6月に行った実証実験だ。CVCが設立されたのは、2018年2月。以来16社に出資済みで、フーディソンはその1社だ。

JRのインフラを活用した取り組みは多数ある。荷物預かりマッチングサービスのecbo(エクボ)と組んだ駅での手荷物預かりや、養蜂業のはなはなと組んだ、スズメバチの羽音を用いた害獣侵入防止システムを活用した鉄道のシカ対策などさまざまだ。

無人AI決済店舗で組んだサインポストとは、7月に合弁会社を設立し本格的な事業化に着手した。人が行き交う巨大なインフラを持つJRは、ベンチャーにとっても格好の“実験場”だといえる。

鉄道だけではない。日本航空(JAL)は今年1月、出資枠約80億円のCVCを設立。出資対象は旅行や輸送、生活に関わる国内外のベンチャーだ。運用は米シリコンバレーのVCに一任する。JALの西畑智博・イノベーション推進本部長は、「数年前にほかのVCに出資したが、注力領域で新規事業をつくるにはCVCに踏み込むべきだと考えた」と説明する。