「120兆円ある調達市場にイノベーションを起こしたい」と話す加藤氏(撮影:梅谷秀司)

ロボットや自動車など、あらゆる工業製品に欠かせない板金加工品。その特注加工品の価格や納期の見積もりをわずか7秒で算出できるシステムを開発したのがキャディだ。

板金加工品の中でも多品種少量生産の製品は、発注側の大企業の設計担当者が加工技術を持つ町工場からこれまでの付き合いを基に相見積もりを取っていた。だが、時間がかかるだけでなく、正確な原価計算ができない。町工場にとっては見積もり作成に追われ、取引先の幅が広がらず赤字になるケースも多い。

キャディはそうした煩わしい作業から発注者と加工会社を解放する。町工場にメンバーを派遣し、材料価格や労働時間、機械の稼働時間を分析。独自のシステムによって、黒字を確保できる価格と納期を提示できるのだ。

創業から1年半。キャディを利用する町工場は約150社に上るが、倒産したのは1社だけ。「1年で売り上げが倍になった」「何十年かぶりで人を雇うことができた」。そうした声が多く寄せられる。

加藤勇志郎CEO(28)は東京大学卒業後、外資系コンサルティング会社・マッキンゼーで製造業を支援する中で、「ものづくりのポテンシャルを最大限に引き出したい」と感じた。それが起業のきっかけだ。町工場の救世主となることができるか。