選別交配を重ねたムスカのイエバエについて説明する流郷氏(撮影:今井康一)

世界人口の拡大が見込まれている中、懸念されるのがタンパク源の不足だ。この食料問題の解決に役立つ技術を持つ企業として注目を集めているのがムスカである。

食料生産に欠かせない飼料や肥料を、家畜のふんなどの有機廃棄物から、ハエの一種であるイエバエでつくることに成功した。飼料市場は2017年の63億ドルが26年には120億ドルへ、有機肥料市場は17年の59億ドルが23年には83億ドルへ、大幅に拡大することが確実視されている。

この分野でイエバエがどんな役割を果たすのか。例えば、家畜のふんなどを堆肥にするのに、これまでは微生物による処理を行うため1年を要するケースもあった。一方、ムスカのイエバエによる処理であれば1週間という短さで可能となる。

ふんにイエバエの卵をかけると、ふ化した幼虫がふんを分解し、さらに幼虫も飼料の原料になるという仕組みだ。人の手があまりかからないうえ、地下水を汚染するといった環境への負荷も小さい。

この驚異的な力の秘密は、ムスカが保有するイエバエにある。元は旧ソ連が宇宙開発事業用に開発していたイエバエ。1100世代以上もの選別交配を重ねることにより、狭い空間で成長する能力に秀でた品種が開発された。