他社と共同で運営するシェアオフィスでは、利用者の好みに最適化した照明の実証実験などを行う

昨年10月にパナソニックが新たに掲げた経営方針の「くらしアップデート」。創業以来、同社が幅広い製品ラインナップを持つ住空間や社会インフラ領域を中心に、従来の単品・売り切り型のビジネスモデルから、継続的に稼ぐ「リカーリング」型に転換することを目指すものだ。

パナソニックとは対照的に時価総額を増やしたソニーは、プレイステーションで会員基盤を築いたゲーム事業を筆頭に、リカーリング型への転換をいち早く進め復活に成功した。パナソニックは、ソニーが取り組んだビジネスモデルを自社流に落とし込もうと試行錯誤している。

今年7月にオープンした、丸の内の会員型シェアオフィス「point 0 marunouchi」での実証実験。(上写真)。木目調の床に間接照明を用いたオープンな執務スペース、仕事に集中するための個室ブースや会議室、瞑想ルームや仮眠室まで完備されたこのオフィスは、ダイキン工業、TOTOなど計9社が協同で運営する、オープンイノベーションの場として設けられた。パナソニックの再成長のカギを握る取り組みが、今ここで行われている。

空間そのもので稼ぐ

狙うのは「空間」だ。オフィスの天井に設置された火災報知器のような円形のスキャナを通じ、屋内位置情報システムでGPS信号が届かない建物内でも位置情報を測定できるようにした。これを他社の製品を含めた家電と連携させれば、オフィスの入居者がスマートフォン上で事前に設定した冷房の温度や明かりのトーンなど好みのオフィス環境を座った場所でつくり出せるようになる。

この実証実験で見据えているのは、中国市場も見据えた商用化だ。米不動産ベンチャーのデロス社と連携し、同社が2014年に生み出した、人とのつながりや労働生産性の高さなど広義の健康を重視した世界的標準「WELL認証」に適合する空調、照明、音響などの製品とそれらをつなぐシステムとを統合し、法人向けにパッケージで販売しようとしている。