社長在任8年目の津賀一宏社長は、創業者の松下幸之助氏とその娘婿の正治氏を除けば、パナソニック史上33年ぶりの長期政権となる。パナソニックには、「幸之助氏が社長を退いた66歳が社長の定年」という不文律がある。現在62歳の津賀社長が長期政権を続けても、長くてあと4年。ただ社内では「今の中期戦略が軌道に乗り始めれば、近くバトンを渡すのでは」と見る向きも多い。実際に候補は3人に絞られてきている。

最も中枢に近いのは、4月に新設された中国・北東アジア社のトップと本体代表取締役専務を務める本間哲朗氏(57)だ。ビデオやSDカードなどのデジタル家電領域で実績を残してきた本間氏は、2012年にグループ全体の経営企画担当に抜擢された。以来、“参謀役”として津賀社長から厚く信頼されている。その人柄は「緻密でメモ魔。ネットから雑誌までメディアにくまなく目を通す一方で、大局的な判断もできる」(社員)といわれる。

緻密な参謀役 中国・北東アジア社 社長 本間哲朗(57)(撮影:梅谷秀司)

本間氏が課されている使命は中国発のイノベーションだ。これまで家電や住宅の企画開発機能は日本が中心だったが、これを中国で強化し、現地で普及するIoT家電を展開することが急務になっている。「いずれ中国で開発した製品を、日本や欧米など成熟市場に持ち込みたい」(本間氏)。