ふらりと立ち寄り住職と雑談する家族(名古屋市の教西寺、撮影:筆者)

名古屋市昭和区の住宅街で、オレンジ色がかった朱色の伽藍(がらん)がひときわ目立つ教西寺(浄土真宗本願寺派)。訪ねると、本堂では子どもたちが鬼ごっこで走り回っていた。奥座敷では、紙でハスの花を作るワークに参加した女性が、世間話に花を咲かせている。鹿児島から引っ越してきて、2018年3月に教西寺の納骨堂に墓を移したという家族は、「お墓参りのついでに」と立ち寄り、住職の三宅教道さん(46)と玄関近くのソファで茶飲み話を始めた。

教西寺は、地域の人たちが集う「居場所」だ。影絵劇の上演や、子どもたちが勉強したり遊んだりする「寺子屋」の開催。ヨガ教室やコーラスサークルもある。LGBT(性的少数者)やグリーフサポートなどの学習会や語り合いもよく開かれる。月に1度の「よっ寺ぁ」は、「おいでよ」の意味の名古屋弁「よってらぁ」をかけた。寺を開放し、好きなように空間を使ってもらえるようにしている。活動が幅広いから、足を運びやすい。

「苦しいと感じたときに来てもらえる寺にしたい。仏教は苦に向き合うものだから、そのために日頃のつながりを大切に、気軽に寄ってもらえる場にしたい」と三宅さんは話す。

本堂を意外な形で利用してもらうのが、金沢市の如来寺(浄土宗)だ。毎年8月1日から5日まで、誰もが自由に昼寝できる場として、100畳ある本堂を正午からの3時間、開放する。地元では「ひる寝寺」として知られる。住職の吉田昭生さん(83)は「本堂を吹き抜ける心地よい風を独り占めせず、お布施の1つ『房舎施』として開放している」と説明する。

「ひる寝寺」として知られる金沢市の如来寺で、気持ちよさげに昼寝をする園児たち。100畳ある本堂が正午からの3時間、開放される(撮影:筆者)

社会課題に向き合う僧侶