週刊東洋経済 2019年8/10-17合併号
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Part1 親と子で備える相続|一目でわかる相続手続きの一覧

相続税の申告・納付期限はあっという間にやってくる

ふるさとに帰省する夏こそ、親子で「これからのこと」を話し合いたい(amanaimages)

親が亡くなった後、最も手間がかかり、かつ期限に敏感になるべきことは、相続の手続きだ。親の死後、さまざまな事務手続きが押し寄せるが、最大の難所は相続がらみだ。相続税の申告・納付は死後10カ月以内。そこをゴールに流れを紹介しよう。

相続を行ううえで、まず意識することは、被相続人(親)が亡くなってから3カ月の節目だ。この間に、遺産を引き継ぐかどうかを決める。マイナスの財産(借金)があるなら相続放棄、もしくはプラス財産の範囲内で債務を引き受ける限定承認をする。これらをしなかった場合は単純承認といって、相続を受けたとみなされる。

「厳密には、相続人が自分に相続が発生したと知ったときから3カ月以内に決めるのがルール。ただし、親子関係なら死亡日に知らせが来ることがほとんどなので、死後3カ月と考えていい」と吉村行政書士事務所代表の吉村信一氏。「この間に、被相続人の債務などを返済すると、相続を認めたことになるので注意すること」。

遺産を引き継ぐかどうかの判断をするには、被相続人の遺産を調べる必要がある。そのために重要となるのが遺言書の有無だ。

「遺言者があると、相続人の調査や選定、遺産の分割など、煩雑な作業を省略できるので、負担が大きく軽減される」(吉村氏)

遺言書には被相続人が自筆で書いた「自筆証書遺言」と、公証人により作成された「公正証書遺言」がある。前者は保管場所が決められていないので、自宅や貸金庫など、遺族が探すというのが一般的だ。遺族が困らないためには、エンディングノートなどに保管場所を記しておいたり、信頼できる者にだけ伝えておいたりするなど、あらかじめ策を講じたい。

2019年1月からは自筆証書遺言の目録部分をパソコンなどで作成してもよくなった。ただし自筆証書遺言を有効にするには家庭裁判所で検認の手続きが必要だ。

自筆の場合には、手続きに耐えうる内容や書式なのか、行政書士など専門家に見てもらうとよい。公正証書遺言であれば、そうした不安はない。