夏休みを迎え、国内外から観光客が多く訪れる米首都ワシントンDC。名所の1つであるホワイトハウスの前で20代とおぼしき若者が大声で叫んでいた。

「トランプは正しいことをしている。国境の壁を作り、移民を制限するべきだ。中国に対しては強硬に出て当たり前だ。なぜ偉大なトランプを批判するんだ」

7月のワシントンは気温30度を超える蒸し暑さ。炎天下にもかかわらず、ホワイトハウスの前では反トランプ派が座り込み、プラカードを掲げて大統領を批判していた。その真横で親トランプ派が大統領擁護の主張を繰り広げている。分裂する米国社会の状況を象徴するかのような風景だった。

米大統領ドナルド・トランプが打ち出す政策に対し、反対のデモが頻発する(AP/アフロ)

2020年の大統領選挙を控え、米国が揺れている。その震源となるのが、ミレニアル世代に代表される若者だ。1981~96年に生まれたミレニアルは、「アメリカンドリームを失いつつある」と米国で最大の社会主義団体、米民主社会主義者(DSA)の全国政治委員会のメンバーであるクリス・マイザーノは語る。

[ミレニアル世代]1981〜96年に生まれた世代。PCやインターネットといったITに囲まれて育った特徴を持つ。ピューリサーチセンターによると、上の世代に比べ特定の政治団体や宗教に固執する傾向は低い。人種で見ても最も多様性がある。政治的にはリベラルが優勢で、同性婚や大麻(マリフアナ)の合法化などを多くが支持。環境問題に高い関心を持つのも特徴。

[米民主社会主義者(DSA)]米国最大の社会主義団体。ニューヨークに本部を置き、バーニー・サンダース上院議員やアレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員などと連携。20代を中心に構成員が増えている。格差の解消に加え、マイノリティーの人権拡大、反戦などを掲げる。

格差の拡大を背景に、金持ちはより金持ちになる。貧困層は教育の機会を失い、社会階層が固定化される。

米国の格差拡大はデータでも明らかだ。仏パリ経済学校の調査によると、1970年には国民所得のうち上位1%の超富裕層の所得が占める割合は11%だった。一方で、下位50%の所得が占める割合は21%だった。

だが、新自由主義を打ち出したロナルド・レーガンの大統領就任(81~89年在任)を機に、状況は変わり始める。95年には上位、下位いずれも15%、14年には上位1%が20%、下位50%が13%と逆転している。

格差の拡大をきっかけに生まれたのは、トマ・ピケティが著した『21世紀の資本』だ。日本でも14年に出版され、大きな話題を呼んだ。「r(資本収益率)〉g(経済成長率)」という単純な数式が示すとおり、資本を持つ者がより金持ちになるという資本主義の本質を指摘した。

失われる自国への信頼