(撮影:風間仁一郎)

「令和の時代が始まりました。私が社長に就任したのは、平成21年6月ですので、平成最後の10年間、社長としてトヨタの舵取りをさせていただいたことになります」

豊田章男は、2019年5月8日の同年3月期決算発表会の席上、社長就任後の10年間における“内なる改革”の取り組みを、次のように総括した。

初めの3年間は、リーマンショック後の赤字転落、大規模リコール問題、東日本大震災など、危機対応の期間だった。次の3年間は、TPS(トヨタ生産方式)、原価低減などの「トヨタらしさ」に磨きをかける期間だった。もっとも、これは十分にはできなかった。そして、直近の4年間は、「トヨタらしさ」を取り戻すと同時に、トヨタのモデルチェンジに取り組んだ期間だった──。

【トヨタのモデルチェンジ】トヨタを、「クルマ会社」から「モビリティカンパニー」へと変革すること。米ラスベガスで開催された消費者向け家電見本市「CES 2018」において、章男が語ったビジョン。「モノづくりを中心に、モビリティに関わるあらゆるサービスを提供する」とする。

これらの取り組みは、いずれも試行錯誤の連続で、必ずしもすべて成功したわけではない。失敗も、あまたあった。

「毎日、今日も生きていた、今日もまた、明日もトヨタの経営に携われるんだということを、必死に続けてきた結果、今に至った……。毎日、ハラハラ、ドキドキしておりました」

以下、平成最後の10年間に、日本のモノづくりを守るため、章男が取り組んできた数々の改革について、検証していきたい。それは、トヨタに限らず、日本企業のすべてが経験した、高度成長から低成長への移行の苦悶の歴史である──。