『クロード・シャノン 情報時代を発明した男』ジミー・ソニ、ロブ・グッドマン 著/小坂恵理 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

[Profile]Jimmy Soni 編集者、ジャーナリスト。米ハフィントンポスト元編集長。スピーチライターやニュース番組のコメンテーターとしても活躍している。

[Profile]Rob Goodman 元スピーチライター。英『History of Political Thought』や米『Kennedy Institute of Ethics Journal』などに論文を発表。ソニとの共著に『Rome’s Last Citizen』がある。

天才の思考を追えるハイレベルな伝記
評者・スクウェイブ代表 黒須 豊

本書は、フォン・ノイマンら天才と並び称され、情報理論の父と呼ばれるクロード・シャノンの伝記である。

シャノンを知らなくても、スマホやコンピューターで情報量を表す単位として登場するビット(bit)という言葉を知らない人はいないだろう。

最近はGiga bit(約10億ビット)が当たり前の時代になり、大量の情報量がコンピューターで処理されるが、この情報量の最小単位を定義し、全ての情報が符号化可能であり、かつ、復号(元のデータに戻す)できることを理論的に証明したのがシャノンで、その情報理論は、人類史上に燦然(さんぜん)と輝く革命的イノベーションを引き起こした。

シャノンがいなければ、コンピューターもスマホも存在しない。また、小惑星探査機はやぶさ2の成功は情報理論に基づいた設計と運営の賜物と言っても過言ではない。

今日のデジタル世界の基礎を築いたシャノンを描く本書は、その偉業を簡易に伝えることを目的にはしていない。むしろ、シャノンの思考を細部も含めて理解、確認することができるレベルの伝記になっている。そのため、やや専門的で多少とっつきにくい部分がある。それでも、ICT(情報通信技術)に携わる者はもちろん、知的好奇心の強い一般読者にもお薦めしたい。

シャノンは、米国ミシガン州の田舎町に生まれ、機械いじりの好きな少年だった。本格的な注目を集めることになったのは、MITの修士論文を発表した直後である。

その修士論文は20世紀において「最も重要で、最も有名な修士論文」と言われるようになった。まさに後の情報理論の原点がそこにあった。

天才に共通して見られる傾向としてシャノンも変人であったことは、本書で紹介されている。一方、2回の結婚をし、子供との関係においても人間臭い一面を持ち合わせていたことも描かれている。