中学受験は、大学進学実績や教育のトレンドで人気校が変動するが、揺るぎない存在として君臨しているのが「御三家」だ。男子御三家は開成、麻布、武蔵の3校。必ずしも難関大学の合格率がトップ3というわけではない。3校に共通するのは、歴史を持つ伝統校であること、時代に左右されず建学の精神に基づいた教育を貫いていること。それらがアカデミックな校風となって、受験生や保護者の評価につながっている。

ここ数年、そんな御三家にも変化が見られる。その1つが、グローバル化だ。東京大学合格者数で38年連続トップを走り、累計5000人を超える開成。ハーバード大学で教鞭を執っていた柳沢幸雄校長が2011年に就任して以来、海外大学を目指す生徒も増えている。ここ数年は2桁、あるいはそれに近い合格者を出し、進学者も6〜7人で推移している。学校も、米国のアイビーリーグをはじめ海外の大学の入試担当者などを呼んで相談会を開催するなど後押しする。麻布の国際交流は、創立100周年を迎える1995年に記念事業の一環として始まった。現在は、中国の河南省実験中学やカナダのブリティッシュ・コロンビア州のショーニガン・レイク・スクール、韓国の養正高校などと相互訪問を行っている。

「世界に雄飛するにたえる人物」を育成

新しくなった高等学校中学校のエントランス(撮影:尾形文繁)

海外進学を経済支援

武蔵は、建学の理念である三理想の1つに「世界に雄飛するにたえる人物」があり、以前からグローバル教育には力を入れてきた。第2外国語は旧制高校から続くドイツ語に加えて、フランス語、中国語、韓国朝鮮語を設置。中学3年生は必修で、高校生は選択で履修する。根津育英会武蔵学園が主催するRED(Research, Essay-writing, Discussion)プログラムは、科学をテーマに英語で授業を行う。放課後や夏休みに行われ、他校の生徒も受け入れている。

今年就任した杉山剛士校長は「グローバル教育はマストの時代」と言い切る。新しいプログラムを早速2つ導入した。その1つが、国内外研修を支援する制度だ。海外の大学が主催するセミナーへの参加など、生徒が自主的に企画し、審査を通れば奨励金として金銭的な補助を出す。「海外研修は質的に高いことはもちろんだが、厚みを持たせるためには量的な拡大を図ることも必要だ。このプログラムで、大勢の生徒が外に飛び出してほしい」(杉山校長)。

2つ目が、海外大学に進学する生徒を経済面で支える、給付型の海外進学奨励金制度だ。米国の有名大学は授業料が高額で、進学のネックになっている。その負担を減らすため、同窓会の協力を得て、初年度の入学金、授業料の一部を最大500万円まで給付する。