株主総会「賛成率の低い役員」ワースト30

「時価総額が大きく、株主が分散していて外国人比率の高い会社では、株主提案で勝負できるようになってきた」

モノ言う株主として知られる、ストラテジックキャピタルの丸木強代表がそう指摘するように、株主総会で会社側提案が高い賛成率ですんなりと通る時代は終わりを迎えつつある。取締役の選任決議をめぐってもそうだ。

6月に開催された株主総会の議決結果が7月12日に出そろった。そこで本誌は過去1年分の総会決議のうち、取締役選任決議に絞って分析を行った。

株主提案が次々に可決

賛成率50%未満で選任決議が否決されたのは、下表にあるイメージ ワン、LIXILグループ(以下リクシル)の5人。2社とも総会には株主提案が提出されていた。

創業家出身の潮田洋一郎氏ら会社側とガバナンス不全を指摘する機関投資家とのバトルが話題となった、住宅設備最大手のリクシル。昨年10月に解かれたCEO職への復帰を目指す瀬戸欣哉氏(59、年齢は7月22日時点、以下同)が自身の復帰を求める株主提案を行い、6月の定時総会で会社側との全面対決となった。

総会に提案された取締役候補は、瀬戸氏ら株主提案の8人、会社側提案の10人(瀬戸氏提案の2人が重複)の計16人に達した。その可決をめぐっては、議決権行使助言会社・米ISSが大きな影響力を発揮した。

会社側候補者のうち竹内洋・元関東財務局長(70)と福原賢一ベネッセホールディングス元副会長(68)について、ISSは反対を推奨。竹内氏が6年前まで常務だった日本政策投資銀行からリクシルは過去に融資を受けたことがある。これらを理由に、ISSは2人の社外取締役としての独立性に問題があるとした。

ISSは株主側候補に対しても反対を推奨した。瀬戸氏、吉田聡専務(56)、川本隆一取締役(66)、三井住友信託銀行顧問の西浦裕二氏(66)の4人に対するもので、瀬戸氏については資質を評価する判断材料が十分にないことを理由に挙げた。そのうえで、「独立性に難のある2人を除く会社提案の候補者がふさわしいといえる」と結論づけた。

総会では、ISSが反対推奨した会社側候補の2人が賛成率50%を割り否決。残り14人は選任という結果となった。

ただ、可決された株主側候補8人を見ると、ISSが反対を推奨した瀬戸氏など4人の賛成率は50〜53%にとどまった。つまり会社、株主の両提案にISSの反対推奨が効いたわけだ。

「みんなの信認を得た完全勝利ではない。会社側候補者の多くが選ばれたのは『瀬戸を監視してほしい』とのメッセージかもしれない。そこは謙虚に受け止めたい」。瀬戸氏がそう語ったように、薄氷の勝利だった。

医療画像システムが主事業のイメージ ワンでは、取締役刷新などの株主提案を大阪の美術商・新山洋史氏が行った。提案の理由は、同社の業績不振と12年間続く無配だ。

新山氏は「イメージ ワンの企業価値を上げる友の会」を結成。株主名簿閲覧権の行使や総会検査役選任の申し立てなど、委任状獲得競争を積極的に仕掛けた。

昨年12月の総会では株主側の提案した候補全員が可決された一方、会社側提案の4人中3人が否決された。上表で賛成率28%となっている3人がそうだ。なお可決された1人は当時の社長で株主提案との重複者だった。

株主提案の取締役が選任された会社には、スパンクリート(特殊コンクリートパネル)最大手のスパンクリートコーポレーションもある。創業家出身で3年前まで取締役だった村山典子氏(53)が、前年に続き自らを取締役に推薦する株主提案をした。

生産現場の改善による利益向上を目指すとする村山氏の提案に会社側は反対意見を示したが、6月の総会では会社提案の9人と株主提案の3人の全員が可決された。だが12人中9人が50%台の低い賛成率となった。

株主総会「賛成率低下役員」ワースト200

下表は、賛成率の悪化幅が大きい順に並べたものだ。

可決された役員の中で悪化幅が最も大きかったのは、ドラッグストア大手・マツモトキヨシホールディングスの社外取締役である木村惠司・三菱地所元会長(72)。悪化幅は否決されたイメージ ワンの3人に続く4位だ。42ポイント悪化し57%まで落ち込んだ。

理由は出席率である。木村氏は全10回の取締役会のうち3回欠席。ISSが基準とする出席率75%を5ポイント下回った。