入試偏差値が高い=よい学校。こうした一般的な価値観とはまた別に、塾関係者や保護者から高い評価を得る学校がある。入試偏差値は決して高いとはいえないが「入学してから学力が伸びる」と定評のある中高一貫校だ。何が違うのか、2つの学校への取材からその共通点を探った。

品川の住宅街にある校舎で勉強と学ぶ姿勢を教える。「僕らは土台づくりをしている」(伊東教諭)(撮影:尾形文繁)

独自の自習システムで自ら学ぶ「土台」をつくる

2019年は国公立大学に30人、早慶上智に79人、GMARCHに190人が合格──。高い大学合格実績を誇るのが、東急大井町線下神明駅から徒歩1分の青稜中学校・高等学校だ。入試偏差値では中堅校の部類に入るが、入学後に生徒の学力を大きく伸ばすことで評判になっている。

前身は1938年創立の青蘭商業女学校。95年に現在の青稜に名前を変え、普通科校への転換と共学化を果たした。高卒即戦力の輩出を目的としていた商業女学校は、時代と合わなくなり、入学者が大幅に減っていたからだ。

このとき、若手教師を積極的に採用したことが転換点になる。

その時期に採用された募集広報部部長の伊東充教諭は、「『ゼロから進学校をつくり上げよう』と、若い力と先輩教師が協力して年功序列の壁がない一枚岩の組織をつくった。手探りでいろんな施策が実行できた」と振り返る。

「狭さ」がむしろ武器に