くすのき・あらた●京都大学法学部卒業。生命保険会社在籍時から定年後を含めた中高年キャリアについて取材・執筆。著書に『定年後』『定年準備』など。(撮影:今井康一)

私は2015年に定年退職して以降、世の中で会社を退職した人たちがどこで何をしているかを知ろうとして、現場に出向いて話を聞き、『定年後』という本にまとめた。

何の準備もしないで定年退職を迎えると、社会との関係を失い、自分の居場所がなくなってしまうケースが少なくない。

女性にはまだ友人や地域とのつながりが多いが、問題は男性だ。定年後の男性には、喫茶店や図書館、ショッピングセンターやスポーツクラブなどで時間を潰すものの、会社に代わる居場所を見つけられない人が多い、というのが取材の実感だ。

私も定年男性から「毎日が退屈で仕方ない」という言葉を何回か聞いた。

これは個人の生き方の問題なので、他人がとやかく言うことではない。ただこの背景には、高齢者のオープンな外部労働市場が整備されていないという社会課題が存在する。

日本型雇用が要因