鬼怒川温泉は栃木県日光市の鬼怒川上流域にある温泉だ。鬼怒川は江戸時代初期までは常陸川などと並び、香取海(かとりのうみ)(太平洋側の銚子近辺)に至る本流の河川だった。その後「利根川の東遷」と呼ばれる江戸時代の河川改修の影響で、利根川の支流となった。

鬼怒川温泉は古くは「滝温泉」と呼ばれて親しまれてきた。しかし明治、大正期に鬼怒川上流域に水力発電所が建設されると、川の水位が下がり、周囲に多くの源泉が発見された。その結果、1927年に藤原温泉とともに「鬼怒川温泉」と称されるようになった。

鬼怒川温泉は関東の名湯として熱海温泉、箱根温泉を含め「東京の奥座敷」としてにぎわった。平成バブル期の93年には、年間観光客341万人を集めた。観光客の中心は法人だ。会社や団体の宴会旅行を対象に大型旅館が増築、設備増強を繰り返した。資金を支えたのは、地元金融機関の足利銀行だった。