(撮影:今 祥雄)

トヨタ自動車社長の豊田章男には、「モリゾウ」というもう1つの顔がある。

彼は、モリゾウとして、独「ニュルブルクリンク24時間耐久レース」をはじめ、国内外の耐久レースやラリーに出場する。

モリゾウの名前を使うのは、レースだけではない。トヨタのオウンドメディア「トヨタイムズ」には、「モリゾウのつぶやき」なるブログがある。

2016年1月のダイハツ工業との共同記者会見では、記者から「好きなダイハツ車を教えてください」と質問が飛んだ。章男は、「モリゾウとして、でいいんですか?」と返して会場の笑いを誘い、「トヨタ社長としてはインドネシアの『セニア』(新興国向けの小型ミニバン/トヨタ名『アバンザ』)、モリゾウとしては『ミライース』(5ドアの軽自動車)です」と返答した。

「豊田章男というと、トヨタ社長という鎧(よろい)を着ないといけないが、モリゾウといえば1人のクルマ好きになれる。“このクルマが好きだ”あるいは“嫌いだ”と、自由に言える」

と、語っている。

社長業の章男と違って、モリゾウはよく笑う。ラリーの会場に出ると、つねにニコニコと白い歯を見せる。純粋な“カーガイ”の屈託のなさ、タクシードライバーを夢見たクルマ好きな少年の面影が、モリゾウにはある。