今年4月、東京大学の入学式での上野千鶴子名誉教授による祝辞が注目を浴びた。この祝辞で最も印象的だったのは、「あなたたちは頑張れば報われる、と思ってここまで来たはずです。ですが、(中略)あなたたちが今日『頑張ったら報われる』と思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持って引き上げ、やりとげたことを評価して褒めてくれたからこそです」という部分である。

「頑張ったら報われる」という認識は、心理学では「ローカス・オブ・コントロール」「自己効力感」などといった概念で表され、これまで半世紀にわたりさまざまな研究が進められてきた。それらによると、努力が報われるという認識を持つ人ほど学業でよい成績を収め、所得や貯蓄額も高いことが判明している。また、失業リスクは低く失業時の対応力も高い。健康管理、災害への備え、コミュニティー活動にも積極的で薬物依存リスクも低く、総じて生活満足度や幸福度は高い傾向がある。

こうした重要な意味がある認識を、日本人はどの程度持っているのか? またその度合いは、男女や世代でどのように異なるのだろうか? 「世界価値観調査」のデータを利用し分析してみた。

日本人は著しく低スコア

世界価値観調査とは、1981年から全6回にわたり世界100カ国・約35万人を対象として行われてきた大規模なアンケート調査である。日本でも毎回調査が行われ、回答者は合計8000人を超える。アンケートは主に政治や仕事、結婚などに対する人々の認識・価値観に関する質問項目で構成されている。