5月14日に開かれたサザビーズのオークションで、モネの油絵『積みわら』が落札された。金額はおよそ120億円。印象派の作品としては歴代最高額だという。サザビーズによる予想落札額は60億円ほどだったので、その倍の金額で売れたことになる。これほどの高値になるケースはまれであるが、オークションで美術品が売られるのは珍しいことではない。

大抵の美術品は「一点もの」なので、いわゆる相場の価格はない。ものによっては、いくらでも払うという人がいるから、あまり安値にするわけにもいかない。つまり売る側としては、「この金額で」とうまく価格をつけることが難しいのだ。だから自分で価格をつけるのではなく、オークションを開催して、買う側に競争して価格を決めてもらう。

したがってサザビーズの予想落札額が大きく外れたのは、何もおかしなことではない。そのような商品だからこそ、わざわざオークションを開催する意味があったのだ。

経済学でオークションが注目されるようになった契機は、1990年代から世界各国で開催された周波数オークションだ。これは電波通信事業に必要な周波数免許を、政府が通信会社にオークションで販売するというものだ。この仕組みにより、米国やドイツをはじめとする多くの国の政府は数兆円に及ぶ収益を上げた。

米国ではスタンフォード大学のポール・ミルグロム教授らが、政府機関からの依頼により、周波数オークションの設計を担当した。そこで開発された方式は、米国の高収益の大きな要因となった。肝心なのは、どの方式を用いるかで、収益は大きく変わるということだ。