ルネサス社長突然の“解任"、裏で糸を引いたのは誰か 唐突なトップ交代の背景には2つの要因

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後任は買収を主導したCFO。成長軌道への道筋は見えてこない。

米IDT社買収を発表した昨年9月の記者会見では、呉氏(手前)とともに、柴田氏(右)もその勝算を説いた(撮影:今井康一)

社長交代は突然に、だが、静かに行われた。

半導体大手ルネサスエレクトロニクスの呉文精(くれぶんせい)社長が6月末付で事実上の解任に追い込まれた。後任には筆頭株主のINCJ(旧産業革新機構)出身で、2013年からCFOを務める柴田英利氏が就いた。

12月決算のルネサスは3月の定時株主総会で呉社長の再任を諮り、90%の賛成票を得ていた。わずか3カ月後、任意の諮問機関である指名委員会が、「経営トップとしては指名委員会の期待を満たしていない」と呉社長の交代を取締役会に答申。これを受け、呉社長が辞任を申し出た。

社長交代の記者会見は開かれず、呉社長の最終出社日となった6月28日、社員に対するあいさつもない寂しい退任となった。

唐突なトップ交代の背景には2つの要因がある。まずは業績の急速な悪化だ。

半導体需要の落ち込みに加え、一昨年、昨年と実需を超える生産を続けた結果、在庫調整を余儀なくされ、19年1〜3月期に7年ぶりの四半期営業赤字に沈んだ。2月以降、1000人規模の希望退職や工場の一時停止などを打ち出す羽目になった。

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