2020年の大統領選に向けてトランプ氏も動き出した(AP/アフロ)

6月20日、トランプ米大統領はイランのレーダー基地などを標的とする攻撃命令をいったん下しながら、150人のイラン人が犠牲になるという報告を聞いて、10分前に攻撃中止を命令したと発表した。イランとの長い戦争に米国を引きずり込みかねない危険な火遊びを回避したと、米国メディアは評価している。だが、「芝居がかった」トランプ氏の行動には賛否両論がある。

そもそも、一度下した命令の翻意を世界に知らせることに、どのような意味があったのだろうか? 最も説得力のある解釈は、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙のコラムニストで歴史家のウォルター・ラッセル・ミード氏の論説「トランプ氏が仕掛けるイラン劇場」(6月25日付)だ。ミードは次のように指摘する。

トランプ政権の戦争の傾斜に対し、ハト派と孤立主義者らはパニックに陥ったが、その後の中止に歓喜した。タカ派はオバマ氏のような譲歩だと批判したが、イランへのサイバー攻撃と制裁強化の公表で怒りを鎮めた。米国民も世界もトランプ氏の一挙手一投足にくぎ付けとなり、次の展開の予想に夢中になった。イラン劇場は、世界がこれまで目にしたことのない迫真のリアリティーショーとなった。