インターネットが世の中をよくする。今どきこんなことを言い出せば、からかわれるのがオチだろう。だが、2010年代はそんな明るい雰囲気とともに幕を開けたという事実が忘れられているのではないか。

シリアで育った私は、こうしたネットの恩恵をこの手で受け取ってきた。言論の自由が限られたシリアのような国で、ネットは意見交換の場を与えてくれた。10〜11年に中東や北アフリカで広がった「アラブの春」の民主化運動でも、ネットは重要な役割を果たした。その後、何百万人ものシリア人が難民となり、ネットが彼らをつなぐ唯一の手段となった。

あるシリア人コメディアンに言わせれば、「シリア人社会はフェイスブック上にしか存在しない」。世界中に散り散りとなった人々が、いかにネットだけを頼りに連帯感を保ってきたかを物語る。