「ポスト安倍」の有力候補の1人とみられる菅義偉官房長官(時事)

冒頭、お断りしなければならない。筆者はかねて「衆参同日選、消費増税の再々延期」の見立てを主張してきたが、事ここに至り、この自説を撤回する。見誤ったことは事実であり、その検証は後段で行う。

安倍晋三首相は第198回通常国会が閉会した6月26日午後、首相官邸で記者会見に臨み、憲法改正を参議院議員選挙(7月4日公示・同21日投開票)の争点とする考えを表明した。憲法改正が安倍氏の悲願であることは永田町では周知の事実である。

一方で、スーパーリアリストでもある安倍氏は、首相在任中に自衛隊明記などの9条改正まで踏み込んだ憲法改正実現にはハードルが高いとする現実的な認識を持ち、改憲の是非を問う国民投票まで突き進むことはないとみられていた。

平たく言えば、2021年9月までの自民党総裁任期中に改憲案の国会発議(衆参両院の3分の2の賛成・可決)→国民投票実施はリスクが大きすぎるということだ。英国は国民投票で欧州連合(EU)離脱を決めたが、その後の国論分裂や経済停滞など大混乱を来した。また、直近の共同通信社の世論調査でも憲法改正反対が50.1%であり、マスコミ他社調査でもおおむね50%超が反対である。

自民党はこれまで、憲法改正推進本部を中心に憲法論議を深めてきた。だが、昨年3月に発表した「憲法改正に関する議論の状況について」にもあるように、「戦力の不保持」と「交戦権の否認」を規定した9条2項については「9条1項・2項維持論」と「9条2項削除論」を併記したうえで「自衛隊を憲法に位置付ける」としている。党内論議の集約は容易でないことがわかる。