兵庫県立大学教授 川上昌直氏に聞く 『「つながり」の創りかた』を書いた

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副題のリカーリングモデル(継続収益)とは、定額の利用料をもらいつつユーザーと長く付き合う収益化モデル。その代表格「サブスクリプション(継続購入)」をめぐって今、安易な“もどき”ビジネスが乱立している。死体の山ができる前にと、現場を熟知する第一人者が警鐘を鳴らす。

「つながり」の創りかた: 新時代の収益化戦略 リカーリングモデル
「つながり」の創りかた: 新時代の収益化戦略 リカーリングモデル(川上昌直 著/東洋経済新報社/2000円+税/296ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

モノ買うより、利用したい。イケてるサブスクとは?

──なぜリカーリングモデルやサブスクリプション(以下サブスク)が脚光を浴びているのですか?

大きいのはリーマンショック後の“所有から利用へ”という流れです。消費者がモノを買わなくなった。買うよりも賢く利用したいという意識。成功例でまず浮かぶのは、定額見放題の動画配信サービス、ネットフリックスなどデジタル系ですね。音楽聴き放題、ソフトウェア使い放題みたいなビジネスにお金が流れているのを見て、モノ系事業者たちが飛びついた。

──ただし失敗例も出ていますね。

代表例がスーツのAOKIの、月7800円でスーツ、シャツ、ネクタイのセットを貸し出すサービス。半年で撤退しました。1年で10万円、本来ならスーツ2〜3着買える金額で自分に合うセットが毎月届くというもの。若者にまずファンになってもらい、ゆくゆくは上の品番のスーツを買ってもらおうと考えた。ところが、本来の太客であるオジサンたちがそちらに流れた。勝手に買ってくれるリピーターといい関係ができていたのに、そこにフタしてしまった。

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