安倍晋三首相は6月10日の参議院決算委員会で、「2%の物価目標は達成されていないが、本来の目的は完全雇用で、すでに実現した」という主旨の発言をした。2013年4月にアベノミクス1本目の矢として量的・質的金融緩和を実施して以来、16年にマイナス金利政策とイールドカーブコントロール政策を導入するなど、消費者物価上昇率2%の目標にこだわってきた日本銀行は、はしごを外された格好だ。

横軸に失業率を、縦軸に物価上昇率を取ると、両者にトレードオフの関係があるため、右下がりの曲線となる。この「フィリップスカーブ」がフラット化(水平化)する、つまり失業率が大幅に低下しても物価の改善が鈍い、という現象が起きている。日銀の2%目標は手の届かない状態だが、FRB(米連邦準備制度理事会)も程度の差こそあれ、フィリップスカーブのフラット化に頭を悩ませてきた。