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「長期停滞論」が無視しているデジタル革命の経済厚生効果 完全雇用でも物価が上がらない理由

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イノベーションの枯渇か、人々が追いついていないだけなのか。

ウーバーはダイナミックプライシングによる新たなモデル(撮影:今井康一)

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「景気が拡大しているといわれても、賃金がなかなか上がらず実感が得られない」といった声をよく聞く。今の安倍晋三政権下だけでなく、小泉純一郎政権から始まった2002~08年の景気上昇局面でも言われたことだ。

さらに、リーマンショック以降は、日本のみならず米国や欧州でも同様のことが語られるようになった。09年から採用された世界的な金融緩和政策と財政出動により景気回復に向かったものの、成長率は小幅にとどまっているからだ。

失業率とインフレ率はトレードオフの関係にある。米国はもともと日本よりも2%ポイント程度インフレ率が高く、完全雇用を実現すれば賃金が上昇して消費者物価の上昇率は2%を超えてくると期待されていた。ところが、完全雇用になっても物価はかつてのようには上がらない。

その原因についてはエコノミストの間でもさまざまな指摘があり、また論争にもなっている。中でも、13年にローレンス・サマーズ元米財務長官が唱えた「長期停滞論」が注目された。

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