廃棄されていたエノキの石づきが、ヒット商品に

外食産業におけるフードロス(食品ロス)のうち、約8割が顧客の食べ残し──。「全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会」の調査による数字だ。

同協議会は全国392の自治体が連携し、フードロス削減のため情報を共有・発信している。「消費者の意識が変わることが最も重要だ。飲食店にできることは限られる」。福井県職員で協議会メンバーの松田祐民子氏はそう指摘する。

ただ、企業側でもフードロス削減への取り組みが始まっている。その1社が、居酒屋の塚田農場など国内に200店舗の飲食店を展開するエー・ピーカンパニーだ。同社は新鮮な食材を安く仕入れるため、生産者の農家や漁師と直取引している。生産者との距離が近いからこそ、食材を無駄なく使うことにこだわってきた。

独自メニューで食材を有効に活用

例えば、塚田農場で2014年から秋・冬限定で販売する「“加藤えのき”の月見ステーキ」(記事上写真)。エノキの根元部分の「石づき」に鶏のつくねと卵黄をのせ、ステーキのように焼いた商品だ。実はこのメニュー、生産者から聞いた悩みが考案のきっかけだった。

宮崎市のエノキ生産法人「加藤えのき」は、学校給食用にもエノキを供給してきたが、使用されない石づきの部分は出荷前に切って捨てるしかなかった。「石づきは栄養価が高く、甘みも強い。それを大量に廃棄処分するのはあまりにもったいない。何かいい使い道はないか」。そんな話を聞いて、メニューに使えればと考えたのだ。