神奈川県相模原市にある日本フードエコロジーセンターは、「まだ食べることができる」食品を豚の液体飼料へと再生する食品リサイクル施設だ。全国の食品工場や小売りなど180以上の事業所から、日に35トンもの食品が持ち込まれる。賞味期限前のものも大量に含まれている。

6月上旬に同センターを訪れると、施設の隅に青色や黄色のコンテナがずらりと並んでいた。中は白いご飯やパン、中華麺などで満杯だった。複数の作業員が機械を使ってコンテナをひっくり返し、中身を処理ラインに次々流していく。食品は粉砕された後、最終的には液状にされ、養豚農家へと出荷されていった。

SNSで批判が拡散、食品廃棄に税金1兆円

まだ食べられる食品が大量に廃棄される、いわゆる「フードロス問題」。国内では、年間643万トンものフードロスが発生している(農林水産省、2016年推計)。内訳を見ると、メーカーや外食、小売りなど企業で発生するものと、一般家庭で発生するものが、半々である。

今年5月末には、フードロスに対する問題意識が社会的に高まったことを背景に、「食品ロス削減推進法」が成立した。自治体には削減推進計画の策定、企業には国や自治体の施策への協力が求められる。一般消費者にも、食品の買い方や調理方法を改善するなど自主的な取り組みが促される。

フードロスが注目されるようになったきっかけは、「恵方巻き」だ。コンビニエンスストアや食品スーパーが10年代に入り販売に力を入れ始めた恵方巻きは、節分の日に限って消費される季節性商材。短期間に大量に製造され、小売店の店頭にずらりと並べられるが、売れ残れば即日廃棄になる。

「もったいない」「恵方巻きの習慣なんてやめてしまえ」。17年ごろから、売れ残った恵方巻きが大量にゴミ箱に捨てられる画像がSNSなどで拡散され、批判の声が広がった。今年1月には、農水省が小売りの業界団体に対して、恵方巻きの作りすぎを控えるよう異例の要請を行った。

食品の大量廃棄は、さまざまな問題を内包している。冒頭の日本フードエコロジーセンター、髙橋巧一代表は、「単に『もったいない』という話ではない」と強調する。環境省の調査によればゴミの処理費は毎年2兆円超。生ゴミは重量ベースで4~5割を占めていることから、年間およそ1兆円の税金が廃棄食品の処理に投入されている計算になる。