この国は時々「年金ヒステリー」ともいうべき症状を発症する。

6月上旬、金融庁が報告書に「老後資金に2000万円が必要」と書いたところ、野党は鬼の首を取ったように批判を始めた。与党は血相を変え、麻生太郎金融担当相は表現が不適切だとして、「受け取らない」などと言い出す。

「それだけ人々の将来不安が強く、年金制度が信用されていないのだ」という評判がもっぱらだ。しかしここでは、もっとあけすけに説明させてもらおう。

総務省の家計調査(2018年)によれば、わが国の高齢者世帯の貯蓄額は平均値で2284万円、中央値でも1515万円である。この数字だけ見れば、一定の水準に達しているようにも思える。