クオンタムリープ 代表取締役CEO(ソニー元CEO) 出井伸之
いでい・のぶゆき●1937年生まれ。60年ソニー入社。95〜2005年に社長、CEO、会長を務める。現在クオンタムリープ代表取締役CEO。(撮影:梅谷秀司)

ソニー復活の軌跡について出井伸之氏に話を聞いた。

──なぜ復活できたのでしょうか。

僕は今のソニーについて公的な発言をしないようにしている。だって、現在の人にいい影響を与えないじゃない? 僕もOBから説教を受けたのでなおさら控えたい。ただ、ソニーの本質的なことについて語るのは構わないと思っています。

──ソニーの本質とはどういうものでしょうか。

ソニーの変革を始めたのは(創業者の一人である)盛田(昭夫)さんだということです。アメリカと日本の間には1970〜80年代に今の米中みたいな緊張関係があった。ニクソンショック、プラザ合意を経て、円が大幅に切り上げられ、日本製品の輸出競争力がなくなった。

そのころ盛田さんは「こんなに円が高くなったら、とてもエレキだけではやっていられない」と、ものすごく強い危機感を持って変革を実行した。

70年代、結果的にソニープルデンシャル生命(現在のソニー生命)をつくったが、盛田さんが本当につくりたかったのは銀行だった。80年代の終わりには、音楽、映画の買収へと乗り出していく。

そういうエンターテインメントをやっているという流れが、90年代にはプレイステーションにつながっていった。

──盛田さんの危機感が今のソニーをつくった、と。