5月の経営戦略説明会で、吉田社長はエレキの「キャッシュ創出力」を強調した(撮影:尾形文繁)

2011年度から5期連続で部門営業赤字を計上し、ソニーの経営不振の元凶となったエレクトロニクス事業。それが今、エッジの利いた高価格帯ブランドとして、成熟市場の中で再び稼げる事業に生まれ変わっている。

象徴的な製品がデジタルカメラだ。高画質なカメラを備えるスマートフォンの普及に伴い、市場自体は急速に縮小しており、18年の出荷台数は1942万台と、ピークだった10年の6分の1以下(カメラ映像機器工業会調べ)だった。

業界の2強であるキヤノンとニコンは大苦戦している。両社のカメラを含む事業の18年度のセグメント営業利益は、ともに前年度比で約3割減った。

そんな中でソニーは堅調だ。18年度、カメラを含む事業の営業利益は約1割増。18年のデジカメ出荷台数は業界3位で、2位のニコンとの差が前年の97万台から17万台に縮まった(テクノ・システム・リサーチ調べ)。成長を牽引するのが13年に参入し、4割超のシェアを握るミラーレス一眼だ。18年に発売した基幹モデル「α7Ⅲ」は本体価格が20万円以上するにもかかわらず、異例の大ヒットを記録した。

市場を変えた「α9」 キヤノン、ニコンも追随

ミラーレス一眼と一眼レフはボディー内の構造が異なる。一眼レフはレンズを通して入ってくる光をボディー内のミラーに反射させ、光学ファインダーに投影する。シャッターを押すとミラーが上がって、ミラーの後ろにあるイメージセンサー(撮像素子)に光が当たり、画像を記録する。

ミラーレス一眼は文字どおりミラーがなく、レンズを通った光がイメージセンサーに直接当たり、そこで信号処理がなされて電子ビューファインダーや液晶モニターに画像が表示される。ミラーや光学式ファインダーなどを必要とせず、ボディーを一眼レフより小さくできるのが特長だ。