【今週の眼】太田聰一 慶応義塾大学経済学部教授
おおた・そういち●1964年京都市生まれ。京都大学経済学部卒業、ロンドン大学大学院修了(Ph.D)。名古屋大学大学院経済学研究科教授を経て2005年から現職。専門は労働経済学。著書に『若年者就業の経済学』、共著に『もの造りの技能─自動車産業の職場で』『労働経済学入門』など。(撮影:梅谷秀司)

いよいよ、60歳代後半層の就業促進が本格化する。5月15日の未来投資会議では、70歳までの就業機会の確保措置を企業に求める骨子案が示され、安倍首相はその法制化方針を明言した。

印象深いのは、経団連の中西宏明会長が、従来の日本的雇用慣行は必ずしも万能ではないと述べたうえで、法制度で縛ることに懸念を示していたことだ。今回の雇用確保が内包する課題を考えたい。

政府方針の土台は、7年前に成立した改正高年齢者雇用安定法だ。そこでは65歳未満の定年を定めている事業主に対して、65歳までの雇用を確保するために、定年の引き上げ、希望者全員の継続雇用制度の導入、定年廃止のいずれかを導入することを義務づけた。未来投資会議の方針は、この考え方を基本的に踏襲し、基準の年齢を70歳に引き上げるというものだ。