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『測りすぎ なぜパフォーマンス評価は失敗するのか?』 『ドゥ・ゴール』『林彪事件と習近平』ほか

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測りすぎ――なぜパフォーマンス評価は失敗するのか?
測りすぎ――なぜパフォーマンス評価は失敗するのか?(ジェリー・Z・ミュラー 著/松本 裕 訳/みすず書房/3000円+税/189ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
Jerry Z.Muller●1977年米ブランダイス大学卒業、84年米コロンビア大学でPh.D.を取得。96年からアメリカ・カトリック大学歴史学部教授。専門は近代ヨーロッパの知性史、資本主義の歴史。邦訳された著書に『資本主義の思想史』。新聞、雑誌への寄稿多数。

リーダーが測るべきは? 間違えば信頼関係喪失

評者 北海道大学教授 橋本 努

成績や達成率など、数値目標を作ってインセンティブを与えれば、組織はよりよい方向に向かう、と私たちは思いがちだ。だが「計測できるから測る」という単純な思考では、組織がかえって腐敗してしまうことを、さまざまな分野での豊富な事例を挙げて、著者は指摘する。

英国議会は、緊急病棟での待ち時間を減らすために、4時間以上も待たせる病院には懲罰を加えることにした。すると病院側は、運ばれてきた患者を救急車に乗せたまま待たせることにしたという。

同じ医療での米国の例。ニューヨーク州では、外科医の技量評価のために、術後30日の患者の生存率を公表したところ、外科医たちは高リスク患者の手術をしなくなった。結果、救えたかもしれない生命を救う機会がなくなった。

大学関係者が気にする大学ランキングの測定にも、多くの問題があるという。米国では国内の大学ランキングに、大学の学長たちの意見を反映させる仕組みがある。そこで各大学は、他大学の学長からの高評価を得るために、豪華なパンフレットを作って送りつけたり、学長たちが読む雑誌に全面広告を出したりするなど、無駄なイメージアップ合戦に勤(いそ)しむのだという。

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