(撮影:尾形文繁)

「第一印象は“怖ッ!”。章男社長の目の奥はそうとう怖い」

豊田章男とイチローの出会いは、2014年1月にさかのぼる。共通の知り合いを通じ、6人ほどが集まって、東京都内で会食をしたのが始まりである。

「第一印象は、“怖ッ!”でした。章男社長の目の奥は、そうとう怖いなと思った」

東京モーターショーに合わせて17年10月に開催されたトークショーの席上、イチローはそう語った。

【トークショー】2017年10月29日、東京・お台場にあるトヨタのモビリティテーマパーク「メガウェブ」で行われた“We Love Cars 2017”モリゾウトークショー。抽選で約350人が来場した。

よく知られるように、章男は、フランクで人当たりがいい。こわもてタイプではない。彼の目を「怖い」と感じたのは、イチローが、章男からテレパシーのようなものを受け取ったからかもしれない。

トヨタ自動車の創業家3代目として育った彼は、お世辞やおべっか、うわべだけの言葉が大嫌いだ。イチローが感じた“怖さ”とは、つねに本質を見極めようとする“怖さ”ではないか。2人は初対面からよく話した。話せば話すほど、章男は、イチローに驚かされた。

日頃、自分が考えているのと「同じ」ことをしゃべるではないか。イチローは当然、野球の話をしているのだが、トヨタの話として聞けなくもない。不思議な感覚だった。

「イチローさんは、普段、僕がモヤモヤと思っていることを、わかりやすい言葉にして説明してくれているような感じがした」

と、章男は言っている。

イチローも、15年11月に、初めて公開で行われた章男との対談の中で、「章男社長に、自己投影するところがある」として、次のように語っている。