週刊東洋経済 2019年6/29号
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市街地再開発は今年、「50歳」になる。1969年に都市再開発法が制定されてからこれまで938件、延べ1334ヘクタールの再開発が行われてきた。「知命」を迎えてもいまだ衰えを知らず、都心はおろか地方の中心市街地でも、天を衝くビルやタワーマンションがあちこちで産声を上げる。

輝かしいビルやマンションが立ち並ぶ裏側には、不動産開発をめぐる激しい戦いがある。「よい土地がない」。取材中、幾人もの不動産関係者が口にした言葉だ。不動産価格が上昇の一途をたどる中、一等地では取得競争が繰り広げられる。デベロッパーにとって再開発は、時間こそかかれど、望みの建物や地区を創出できる貴重な手段となっている。

とはいえ、再開発に必要な地権者の合意形成を行うことは容易ではない。辛抱たまらず、力業に打って出る会社も少なくない。ある不動産関係者は事もなげに言う。「再開発は時間との勝負だ。金を積んだり、難癖をつける住民にこわもてで対処したりすることは、立ち退きにかかる時間を買うことと同義だ」。

こうしてまとめ上げた土地に物件を建てることで、デベロッパーの苦労は報われる。だが最近は、再開発後の物件や空間をどう使うか、周辺の地域をどう活性化するか、異業種も参入した新たな戦いが起きつつある。デベロッパーは、もはや建てたら終わりではない。主戦場は、建てるまでではなく、建てた後の空間利用へと移りつつある。

岐路に立つ再開発、新たな知恵比べに