久しぶりの「年金炎上」である。金融庁の報告書に記載された「公的年金だけでは老後2000万円不足」とする内容をめぐって、テレビやネットで年金バッシングが起こった。もはや、数年に一度起きる国民的行事の感もある。

年金問題を10年以上取材してきた身としては、今回の騒動は「半歩前進」と思える部分もある。テレビのワイドショーでは、あるタレントが「100年安心なのは年金制度であって、私の年金は安心ではないのか」と怒っていた。年金への不信感は強いが、「制度自体は安心」と思ってもらえれば、まずは半歩前進なのだ。

少子高齢化の加速により2000年前後に年金不安は本格化し、当時の政府たたきは今の比ではなかった。保険料などの収入と年金給付の支出のバランスが崩れれば、制度は当然、存亡の機に立つ。収支を均衡させようとしても、保険料負担の引き上げは経済界が大反対、年金給付のカットは国民が許さないという状況だった。