トランプ大統領に対抗すべきペロシ下院議長だが、行動は煮え切らない(ロイター/アフロ)

トランプ米大統領の弾劾をめぐり、米民主党が真っ二つに割れている。民主党は下院の過半数を握るが、下院で弾劾決議案が可決されたとしても、上院の弾劾裁判で有罪判決が出なければ大統領は罷免されない。しかし、その上院を支配する共和党が自らの旗頭に有罪判決を下す展開など、まず考えられない。トランプ氏に驚愕のスキャンダルが新たに浮上し、情勢が一変する可能性は排除しきれないとはいえ、これが現在の政治力学である。

こうした中、民主党のペロシ下院議長は弾劾に反対する姿勢を見せている。いま弾劾に踏み切ってもトランプ支持者の結束力を高めるだけで逆効果。弾劾のインパクトを最大化するには、来年の大統領選挙まで待ったほうがいい──。要するに、「まだ機が熟していない」というのである。

なるほど、ペロシ氏はワシントンでも有数の切れ者として知られる。だが、このようなスタンスは問題だろう。そもそも、トランプ氏の弾劾に踏み切ったからといって、政治に悪影響があるとも思えない。それに合衆国憲法は、大統領の権力をチェックする目的で議会に大統領を弾劾・罷免する権限を与えている。そして憲法には、政治的に都合のよいタイミングでその権限を行使せよ、といったようなことは書かれていない。