金利が極端に低く、公債が投資家から安全と見なされている国は、金融緩和策の限界を補うために財政赤字を拡大する必要があるかもしれない。少し前に筆者はそう主張した。今こうした条件に当てはまるのがユーロ圏だ。

2008年の世界金融危機に続き、欧州債務危機に見舞われたユーロ圏では、経済を安定化する手段として主に金融緩和策が使われてきた。もちろん、金融政策は“燃料切れ”になってしまったわけではないが、もはや当時と同じ効果は期待できない。

これに対し、十分に活用されてこなかったのが財政政策だ。結果としてユーロ圏経済は潜在成長率を下回る状態が続いている。こうした状況は一刻も早く解決すべきだが、一国の努力だけではどうにもならない。ユーロ圏共通予算を創設し、財政支出レベルを引き上げる必要性は、以前にも増して高まっている。ただ、共通予算の実現は加盟国間の利害調整が絡むため、政治的なハードルは高い。