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北方領土問題におけるロシアの情報戦を読む 日ロ対話の継続が目的、あえて不利なリークも

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5月31日、東京で行われた日ロ外相会談において、大阪で開催される主要20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて、安倍晋三首相とプーチン大統領との会談が6月29日に行われることが決まった。日ロ首脳会談を標的にして、ロシアが積極的な情報戦を仕掛けている。目的は、日ロ交渉を失速させないことだ。

とくに興味深いのは、6月2日に共同通信がモスクワ発で報じた情報だ。〈第2次大戦末期にソ連が占領した北方四島などについて、日本が連合国と結んだサンフランシスコ平和条約でソ連の主権が明記されておらず、領有を主張する上で弱点になるとソ連指導部が認識、対日交渉で主権確認を求める方針を決めていたことが2日、機密指定が解除されたソ連の文書で判明した。/日ロ関係筋によると、継承国ロシアが四島のロシア主権確認を執拗に迫る背景には、国際条約で帰属が確定していないとの懸念があるようだ。/共同通信は、ソ連共産党中央委員会幹部会が1955年6月の日ソ交渉開始直前に承認した対処方針など、重要文書を入手した〉(6月2日「共同通信」)。ちなみに、東京で全国紙だけを読んでいると、共同通信や時事通信が報じる重要ニュースを見落としてしまうことがある。今回、共同通信が報じたソ連共産党機密文書の要旨も、筆者は共同通信を引用した琉球新報で読んだ。地方紙を読むことの意義は、通信社の発する重要な情報に触れることができる点にもある。

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