有料会員限定

東北の工場誘致 「豊田章男 100年の孤独」 第11回

✎ 1〜 ✎ 10 ✎ 11 ✎ 12 ✎ 最新
拡大
縮小
(撮影:風間仁一郎)

記者会見の席上などで、豊田章男は常々こう語っている。

「石にかじりついてでも、300万台を守りたい」

「300万台」とは、トヨタ自動車(単体)の年間国内生産台数の目標値だ。その目標値を、「石にかじりついてでも」守るというのは、どういうことか。

自動車産業は、資材の調達をはじめ、製造、販売、整備、運送など、広範囲にわたる関連産業を持つ総合産業だ。日本自動車工業会の調べによると、その就業人口は539万人に上る。わが国の全就業人口は6530万人だから、およそ8.2%に当たる。文字どおり、日本経済を支えている。

トヨタ単体の国内生産台数は2018年に約313万台と、国内で生産される自動車全体の約3割を占める。ということは、ざっくりと見積もって就業人口のおよそ3割、すなわち160万人前後の雇用を担っている、といっていい。トヨタは、彼らの生活を支える重い役割を担っているのだ。

取引があるサプライヤーの多くは、トヨタの国内生産台数300万台を採算ラインに置いている。つまり、300万台を生産しないことには、サプライヤーは国内の生産拠点や雇用を維持できない。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内