ボンバルディア買収でも続くMRJの「生みの苦しみ」 小型旅客機事業の買収に向け条件交渉

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買収でMRJのサポート体制を構築するが、越えるべき山は高い。

日米航空当局からの安全認証取得を目指し、米国で飛行試験が続くMRJ。90席クラスの次は、一回り小さな70席クラスの開発に本格着手する(ⓒ三菱航空機)

三菱重工業がカナダ・ボンバルディアの小型旅客機事業買収に向け、同社と細部にわたる条件交渉を進めていることが明らかになった。

三菱重工は傘下の三菱航空機を通じて、90席クラスの小型ジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」の開発を進めている。ただ、初挑戦の同社には航空当局から安全認証(型式証明)を得るための知見やノウハウがなく、設計見直しなどで5回にわたって開発・納入スケジュールを延期。現在の納入メドは2020年半ばと、当初計画より7年遅れだ。

圧倒的な燃費効率と客室の快適性がMRJの最大の売りだったが、革新性は薄れている。三菱重工グループがMRJ開発に手間取る間に、最大の強敵であるブラジル・エンブラエルがほぼ同じ最新鋭エンジンを採用した改良型機「E2シリーズ」の開発に着手。開発作業は順調に進み、すでに真ん中のサイズの100席クラスの機種は18年に納入が始まったからだ。

サポート網が欲しい

一方、ボンバルディアは、100席未満の小型旅客機で一時はエンブラエルと覇権を争った企業。しかし、社運を懸けて挑んだ百数十席クラスの「Cシリーズ」の開発費用が膨れ上がり、経営危機に陥った。このため、Cシリーズ事業は欧エアバスに売却。鉄道事業に特化すべく、100席未満の小型ジェット旅客機事業も売却先を探していた。

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