2020年の訪日観光客消費8兆円を掲げ、「最先端観光コンテンツ インキュベーター事業」のモデル事業実施者を募集した観光庁。拠出は1案件1500万円。ICT(情報通信技術)活用やナイトタイムエコノミー推進など、旬な公募領域が指定された。降って湧いたような資金調達の好機に、一部の自治体ではコンテンツを慌てて考えるという本末転倒の議論が空回りした。

18年の訪日観光客数は3100万人超を記録。この観光客たちが数日でも地方に宿泊すれば、地域経済の活性化にもつながる。しかし、国や自治体は地方誘致に対して、戦略的に取り組めているだろうか。地方創生推進交付金を分配し、専門知識や経験が十分とはいえない自治体担当者に丸投げしてはいないか。担当者は外部のコンサルタントを起用し地方創生の取り組みが完了したと考えているフシはないか。

先月、マドリードから3時間ほどの地方都市、アンダルシア州ハエン県を訪れた。ハエンは全世界のオリーブオイルの2割を生産する。見渡す限りのオリーブ畑のほかは歴史的建造物や教会があるだけだ。日本でいえば稲穂がこうべを垂れる地方都市である。そのハエンの丘に「パラドール」と呼ばれる13世紀の古城ホテルがあった。