不法移民流入を理由としたトランプ米大統領による対メキシコ制裁関税は、メキシコが国境対策強化を約束したことで無期限に延期され、産業界やマーケットは胸をなで下ろした。だが、移民問題にまで通商政策を絡め、制裁関税で脅して成果を得るという手法には、「大統領権限の悪用」として米与党・共和党内でも反発が強かった。これから米国との貿易交渉が本格化する日本にとっても、先が思いやられる話だ。

実際、日米貿易交渉の最大の焦点である自動車分野において米国は、国家安全保障と絡める手法で日本に圧力をかけている。5月17日、トランプ氏は通商拡大法232条に基づき、自動車・同部品輸入について日本、欧州連合(EU)と交渉し、180日以内に交渉成果を報告するよう通商代表部(USTR)代表に指示する布告を発表した。同条では、ある製品の輸入が米国の安全保障を脅かすおそれがある場合、大統領は輸入制限措置を発動できる。