作家 赤松利市氏に聞く 『ボダ子』を書いた

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娘の精神障害、会社倒産、東日本大震災……。落ちていく、底なしの穴を落ちていく男を描いた小説。そこに「なぜ?」は存在しない。物語は著者の人生そのものだ。63歳、1人の新人作家がその筆力をもって、読者を救いのない汚穢(おわい)に満ちた世界へと導く。

ボダ子
ボダ子(赤松利市 著/新潮社/1550円+税/331ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──帯にある文言の一部「あらゆる共感を拒絶する、極限」、まさにそのものでした。

自分都合のド腐れ畜生な生きざま、主人公の大西浩平は100%私です。彼の経歴はそのまま私の経歴です。

理数系ながら本好きが高じて大学は文学部へ進学。新卒で入社したのが大手消費者金融でした。父がその会社のオーナーと同窓で、「おまえの息子預けないか?」と。私は嫌だ言うた。それを酒場でぼやいたら、周りが寄ってたかって「バカかおまえは。サラ金はこれからの成長産業やぞ」と。「ほんなら入りますわ」。決めました。

──浩平の父は芝生の病害に関する権威、という設定ですが。

実際、私の父は世界的な植物病理学者でした。植物の後天的抵抗力を世界で初めて立証した人間です。2年間家族で米国に招かれ、帰国したのが11歳のとき。だから私、一応帰国子女です(笑)。

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