ICT(情報通信技術)の発展は、人々の生活とメディアとの関係を劇的に変えた。興味深いのは、画像データや音声データ、動画データの品質は、むしろ以前よりも劣化したことである。

例えば画像データのフォーマットとして一般的なJPEGは、人間の目で見て大きく画質が変わらないくらいに画像を圧縮する規格だ。インターネットでの通信負荷を軽くするために開発された。

映画やテレビなど、連続性を持って発展してきたメディアにおいて、技術の発展は画質の向上を意味した。だが、伝統的なメディアからネットメディアへの進化は急速で、しかも非連続なものだ。視聴者はネットが持つ新しい価値と引き換えに、低い画質を受け入れる。それに慣れてしまうと、無駄に高画質で、読み込みに時間もデータ容量もかさむコンテンツを毛嫌いするようになった。