5月31日、河野太郎外相はロシアのラブロフ外相と会談し、大阪での20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に合わせて6月29日に日ロ首脳会談を行う方針を確認した。〈それまでに外交当局間などで三つの作業部会と次官級協議を行い、北方四島での共同経済活動の事業案や経済関係者の新たな渡航枠組みの具体化を急ぐことで一致。ただ、ラブロフ氏は会談後、四島のロシア領有を日本側が認めるよう改めて求めるなど、北方領土の帰属問題は平行線に終わった。/会談は、当初予定していなかった通訳のみを交えた1対1で約45分間行ったほか、昼食会を含め計3時間にわたった。/共同経済活動について、日ロ両政府は「観光ツアー」と「ごみの減容対策」の2事業の具体化を優先的に進める方針。河野氏は会談後の共同記者発表で、具体的な事業案を絞り込むための局長級作業部会を、11日に都内で開くことを明らかにした。個々の事業に必要な法制度と、四島への渡航枠組みを巡る二つの作業部会などの日程は明らかになっていない〉(6月1日「北海道新聞」電子版)。

日本の報道は「日ロ交渉、月内交渉断念/平和条約、領土問題で溝」という見出しを朝日新聞が1面で掲げているように、北方領土問題の解決が難しくなったとの論調で報じられている。もっとも6月のG20サミットで平和条約の基本合意を得ようとした日本政府が当初立てていたタイムスケジュールは、今年に入ってからロシアが遅延戦術を本格化させた。そのため、1月22日にモスクワで行われた日ロ首脳会談で「時間がかかる」という認識をプーチン大統領が安倍首相に伝えた後、関係者の間では時間がかかることは自明のこととなっていた。重要なのは、北方領土交渉の方向性だ。

この点に関して、朝日新聞の検証記事が事柄の本質をよくつかんでいる。〈実際、首相は以前から2島返還を現実的な解決策の一つと捉えていた。官房副長官だった2002年の講演で「2島返還決着論は問題だが、2島先行返還論は必ずしも問題ない」と発言。側近の一人も「4島不法占拠論、4島返還論を唱えてきたのは守旧派だ」と言う。/昨年11月14日、シンガポールで行われた日ロ首脳会談。首相はプーチン氏にこう語りかけた。「共同宣言に書かれている内容を完遂する形で平和条約を結ぼう」。プーチン氏は受け入れ、日ソ共同宣言を基礎として交渉を加速させることで合意した。首相周辺は言う。「首相は一気に賭けに出た」/首相は周辺にこう語った。「プーチンでなければロシアの世論を押し返せない。これは最後のチャンスなんだ」〉(6月1日「朝日新聞」朝刊)