けんじょう・よしかず●1962年生まれ。85年慶応大商学部卒。90年同大学院博士課程修了。『ちょっと気になる社会保障』『年金、民主主義、経済学』(撮影:尾形文繁)

営業現場では公的年金への不安が枕として語られがちだ。しかし、不安視する側の認識が誤っていることは少なくない。そこで「ありがちな誤認」を社会保障制度研究の第一人者、権丈善一・慶応大学教授に正してもらった。

──これからの時代に資産運用はどう位置づけられるでしょうか。

これからは「先発」がワークロンガー(継続就業)、「中継ぎ」がプライベートペンション(企業年金や民間生命保険会社の年金保険)、「抑え」がパブリックペンション(公的年金)の「WPPの時代」になる。真ん中のP、プライベートペンションは資産運用で賄う。できるだけ長く社会参加し続け、かつ繰下げ受給で公的年金をもらい始めるとすると、プライベートペンションは退職から公的年金を受給するまでの「中継ぎ」になる。いま繰下げ受給の上限(70歳)を引き上げようとする動きもあるわけで、民間の金融機関には「抑えの切り札」となる公的年金の受給までのセットアップとしての資産運用の新商品を開発してもらいたい。これまで民間は65歳で受給し始めた年金に上乗せをする「先発完投型」を考えてきたわけだから、「先発・セットアップ・抑えの守護神」のWPPはコペルニクス的転回かな。

──「退職後の生活には1億円くらい必要になるかも」と営業している金融機関もあるようです。

彼らも生きていくのに大変だね。

──「年金は破綻している」という前提に立たないと、民間金融機関の営業トークが成り立たない?